急に日記を書き始める

書評というのは、どうしようもない俗物かぼんくらかが書くものである。最近、このことに気付いたので、何年か前まで、母親によく言われていたあの台詞、「本をあれだけ読んでなにを学んだの」にも対応できそうな気がする。つまり、フィクションを読めば読むほど、人間は手の中からいろいろなものをこぼしていくのかもしれない。
とはいえ、忘却はある意味正しい。むかしは違う作品を結びつこうなんて思いもせずに新しいクールのアニメに夢中になっていた私も、いまは忘れがたい作品をいくつも抱えて、そのお互いを結びつけてみたり、新作を結びつけたりしている。忘却することは、つねに新しいものに夢中になれる余地を残すことでもあるのだ。